【事例紹介】目の中心で見ていないことがある【固視ずれ】
こんばんは!プラオプ ハセガワです!
今日は御紹介するK様の事例は、ご本人の努力によって改善に向かっていったというケースです。
最初いらっしゃったときのお困りは「左が見えにくい・・・」「2重に見える」「片目だけにしたほうが見える」「疲れる」とのことでした。
現在使っておられる眼鏡で視力を測定すると両目ともに1.2が出ているのですが両目にすると1.0を下回る・・・
両目で見たときに問題が起きているので、「両眼視」に原因がありそうです。
視力は左右同程度出ているのに、左が見えにくい・・・
機械の測定データは確かに近視が足りていないというデータをはじき出します。
しかし、視力を見る限りそのデータの信憑性は疑わしいです。近視が4段も足りていなければ通常0.6~.07位の視力ですから機械の数値があてにならない事が分かります。
レンズを使って度数を測定してみても、左の 視力が上がってこない・・・でも、眼鏡では視力が出ている・・・さて・・・
僕は度数の測定に3種類の方法を比較します。「オートレフラクトメータ」といわれる覗いたら遠くに気球や家のイラストを見るピピピっと測る機械、「検影法」といって目に光を入れると見える反射光の動きによって測定する方法、そしてお客様に問いかけながらレンズの度数を変えてゆく「自覚検査」です。自覚検査のデータを最も重要視するのですが、お客様の無意識の緊張や習慣、クセなどによって測定値が変化したりすることもあるのです。
だからといって「オートレフ」の値だけでは裏づけが足りません。なので実際に僕が見ることが出来る方法として「検影法」のデータは欠かせません。
3つのデータの比較をして検討する・・・エヴァンゲリオンのMAGIシステムです(スイマセン)
「検影法」でもそんなに強い近視のデータは出ていない・・・
そこでK様に「見る」ように集中していただくと・・・視力が上がります。
これは単にお客様の集中力の問題でしょうか?
実は違うんです。
予備検査でカバーテストといって左右を交互に覆い隠し、目の動きを見ることで斜視および斜位をおおよそ掴むのですがK様は大きめな外斜位+上下斜位をお持ちでした。そのズレをかなり頑張って補っている・・・しかしその負担が大きいので「なんとなく物が一つに見えるところ」までしかズレを補正できていない状態です。ここまででK様が本当にご苦労をされていた事が良く分かります。
右目を中心に見ていて、左目がズレを補おうと頑張っている、でも負担が大きすぎて左がシッカリと中心で見ていない、中心からズレている所を常に使い続けたのでそのズレた部分が中心の代わりをするようになりつつある・・・
これを「固視ずれ」というのですが、目の網膜は中心が最も視力が良く周辺に行くにしたがって急激に視力が下がります。その中心が本来視線と一致するわけです。
つまり左目は中心でない部分を中心の代わりに使うクセがついてしまい、そこで見るから視力が上がらないのです。これが「左が見えにくい」正体でした。そして不安定な度数測定の原因になっていると思われます。
でも幸い、意識をシッカリ入れると本来の中心で見ることができ視力が上がるので、補正ができる可能性が高いと思いました。
なのでまず負担の大きい上下方向の補正をプリズムで行い負担を軽減し、さらにトレーニングによってシッカリと「中心で見る」事を整える。
出来上がった眼鏡は最初強い違和感があったそうですが、いままで感じなかった立体感や奥行きを感じられるようになり、山の緑が綺麗に見えて、しかも平面のはずのテレビの画面の中の奥行きの表現を感じられるようにったそうです。そして慣れるにしたがい肩こりが随分と減ったそうです。
そして、度々ご来店いただいてトレーニングの効果をお聞きすると、やはり「難しい・・・」でも「両目で見る事が出来るようになって来た」との事。それによって「なんか目がよくなった気がする」・・・。ここまでシッカリと練習していただける根性も素晴らしいです!
そして再測定を先日行ったのですが、とてもスムーズに測定ができ、上下方向だけではなく外斜位に対するプリズムを更に組み込むと明らかに両目の視線が合わせやすくなって、両目での視力もシッカリと出てご本人も「楽にみえる」という感想でした。
この眼鏡ができあがったらトレーニングも次のステップ、両目の視線を様々な距離に合わせる段階にチャレンジしていただきたいと思います。
僕はもしかしたら今後、近視の度数も弱くなっていくのではないだろうか・・・と予測しています。
ご本人の努力によって、今までのご苦労を改善できそうな光がかなり明るくなってきました!
K様の根性には本当に感服いたします!
少し難しい事例でしたので長文でしたが、プリズム眼鏡とトレーニングによる効果をご本人の許可を得て書かせていただきました。K様ありがとうございます。
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