スマホって目に悪いのか?⑨
こんばんは! プラオプ ハセガワです。
さて前回は「調節性輻輳」と「AC/A比」そして「融像性輻輳」というちょっと深いお話をしました。
近くを両目でしっかり見る。そのために起きている事なわけですが、ではスマホにようにかなり近づいて見てしまう。近すぎる距離で見る時に「両目で見る」ということにどんな負担が起きてくるのか?
今日はその辺のお話です。
その前に用語を整理しておきましょう。
・調節力
距離に応じたピント合わせ力の事。あくまで片目でのお話。左右の目は連動しているので左右で別々のピント合わせは出来ない。
単位はD:ディオプターで、距離の逆数。つまり「1」を距離で割った値。距離が近いほど大きくなる。
・輻輳力
距離に応じた寄り目の量。
単位は△:プリズム
計算式は・・・
ある距離を見ている時にそのまま視線を1m先まで延ばして、その間の距離に左右の目幅を加えた値と同じになる。
・調節性輻輳
ピント合わせに伴って自動的に起きる寄り目の事。ピント合わせと寄り目は神経的に繋がっていて個人差はあるが、調節力が大きくなれば輻輳も沢山起きるような関係。
・AC/A比
1Dの調節力(1mを見るのに相当)を使ったら起きる調節性輻輳の量の事。
左右の目幅と同じであれば理想的(ノーマル)
小さい(調節性輻輳が少ない=寄り目が足りない=ロウ)場合と大きい(調節性輻輳が多すぎる=寄り目が起きすぎる=ハイ)場合がある。
・融像性輻輳
自動的に起きる調節性輻輳の過不足を補う寄り目の事。
AC/A比が小さい場合は、寄り目が足りないのでそれを補い
AC/A比が大きい場合は、寄り目が多すぎるので打ち消す方向で働く
コレがあるおかげで、多少の誤差があっても両目で問題なく見る事が出来る。
・近接性輻輳
近くにあるという感覚だけで起きる輻輳。
考えやすくする為に今日の解説では調節性輻輳に含まれるとして考えます。
AC/A比が理想的(ノーマル)の場合
距離が近づくに従い、必要な調節力はドンドン大きくなっていきます。
前の記事でも使ったこのグラフ。下のメモリは小さすぎて見えませんが、右に行くにしたがって距離が近くなり、1mよりも手前で一気に必要な調節力が増えています。
そして必要な寄り目の量も同じように増えていきます。
しかし、AC/A比が理想的、つまり必要なピント合わせを行ったら、自動的に丁度いい寄り目が起こるなら、なにも問題なく近くを見る事ができそうです。
(長時間持続できるかはおいといて)
表にまとめるとこんな感じ。
過不足を補うための融像性輻輳は使っていません。
じゃあ寄り目が足りない、つまりAC/A比が小さいとどうなるか・・・
AC/A比が小さい(LOW)場合
自動的に起きる「調節性輻輳」が小さすぎ、そのままでは物がダブッて見えてしまいます。
なので、それを補う「融像性輻輳」を使わなければなりません。
50cmくらいなら別に問題なく見れそう・・・
ところが20cmになるとなんと20△も足りない。
融像性輻輳にも限界があります。沢山あって「30」もある人もいれば「10」しかない人もいます。
とすると10しかない人はもう35cmは両目で一つで見る事が出来ないと言うことに・・・
「20」ある人は20cmでフルパワーを使って補わなければなりません。
「30」あっても2/3もの力を使い続けなければなりません。
そんな状態を維持するのはとても困難です。
人は視界がダブるのを嫌います。だから一生懸命より目をして頑張って維持しようとする・・・そりゃ疲れそうですね・・・
寄り目が苦手な人は、「ピント合わせという片目だけで説明できる事」とは別に、大きな寄り目から来る負担が掛かってきてしまうわけです。
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