「気球が見える機械」オートレフラクトメーターの話③
こんばんは!プラオプ ハセガワです。
だいぶ間があいてしまっているうちに桜散ってしいました。
あーあ
さて前回は「オートレフラクトメータ」でピント合わせ機能が狙い通りに抜けないとどうなるのか?を書きました。
今回は「ピント合わせが抜けない事がある」という事について書きます。
そんな思い通りにはいかないんです。
ボヤけた映像をみたらピントが抜けるのか?
ピント合わせの仕組みはことあるごとに書いてきましたのでそれは割愛するとして、目の奥でピントが合っていない状態(乱視は今は考えません)は2つの場合が考えられます。
一つは「前にズレている状態」もう一つは「後ろにズレている状態」です。
「前ズレ」を解消するには調節力(ピント合わせ力)を抜かなければなりません。
「後ズレ」を解消するには調節力を入れなければなりません。
つまりボヤけた映像をハッキリ見ようとしたら「調節力を入れる事をする」場合もあるわけです。
「近視」はそもそもピントが「前ズレ」ですから遠くをハッキリ見ようとすれば「調節力を抜かなければ」なりません。
しかし「遠視」はピントが「後ズレ」ですから(無意識であるにせよ)「調節力を入れなければ」遠くがハッキリと見えません。
遠視の人は遠くを見た時にピントが「前ズレ」である事が基本的にないわけですから近視とは逆に「調節力を抜けば抜くほどボヤけて」しまいます。
オートレフレクトメーターは意図的に「前ズレ」状態を作り、ピントを抜かせようとするわけですが、「ボヤけ」を解消するために普段から「ピントを入れる」ような目の使い方をしていたとしたら機械の意図通りに目が動いてくれるでしょうか?
もちろん「前ズレ」のボヤけに対して「ピントを入れる」ような事をすればより一層ボヤけてしまいます。抜いた方がボヤけは小さくなるハズなのですが、瞬時に理屈通りに動くのか?
そう考えたら目が混乱してしまうとしてもおかしくありません。
何が言いたいか?というと「ボヤけた映像を見せたら逆に調節力を使ってしまう事がある」という事です。
そう多くはありませんが(遠視に限らず)実際にそのようなケースは見られます。
なんでそんな事が分かるのか?というと・・・
・「測定数値がバラバラで変動が大きい」
・「ピント合わせと連動している瞳孔の動きが安定しなかったり強く縮瞳(瞳孔が小さくなる事)する」
・「自覚測定(視力表を見ながらレンズをカチャカチャ変えて見えますか?とかするやつ)の結果とオートレフレクトメーターの値に(自覚値の方が近視ならば弱く、遠視ならば強く、場合によっては近視と思ったら遠視だったりと)大きな差異がある」
という事が実際にあるからです。
ピント合わせの混乱の原因?
オートレフラクトメーターは大きさ50cmに満たない小さな機械です。
そこを覗くと中に気球の絵(写真?)が見える。
それは内部のレンズを使って遠くにあるように見せているのですが、さて、そんな小さな機械の中で遠くにあるよにうに見えることって不思議ではないですか?
自然では起きない特殊な状況です。
体は脳が動かしています。当然、意識の影響を強く受けます。
機械の仕組みを理解していたら、素直にそれを受け入れて機械の期待どおりの動きをするかもしれません。
しかし、みるからに不思議で不自然な状況では「50cmの箱の中の近くにある絵をみているはずだ!」との(無意識の)強い思い込みが調節力を刺激して逆にピント合わせを強めてしまう事もあるでしょう。
それだけではありません。
人は2つの目に映る差を利用して感覚として距離を感じます。
しかしオートレフラクトメーターを覗く時は片眼ずつです。
それでは距離感を自然に感じる事はできませんから、なおさら「機械の中の絵」が遠くにあるとは認識しづらい状況であるわけです。
さらに、測定されていない方の目は何を見ているでしょうか?
機械の外側を見ています。
それはメチャメチャ近いのでピントが合わせにくいハズですが、近視がある程度の強さで調節力のタップリある若い目であれば、その近すぎる距離にピントを合わせることができてしまうわけです。
そこに意識が行ってしまったら調節力は抜けないでしょう。
つまり目が「遠くを見てピント合わせが抜けている」状態を作らなければいけないのに、逆にピント合わせを入れてしまうような原因もそこには同時に存在しているわけです。
今回は調節力(ピント合わせ)のコントロールが想定通りにならない事がある・・・というお話でした。
しかし、オートレフラクトメーターの測定値に影響を与える要素は他にもあります。
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